Pavo Solutions LLCは、ピボットカバー付きのフラッシュドライブ装置に関する特許を所有し、Kingston Technology Companyに対してその特許を主張しました。Kingston社は、Pavo社の特許のクレームには構造的不可能性があり、侵害されないと反論した。このクレームの問題点は、フラッシュメモリ本体とカバーを収納するケースに、「フラッシュメモリ本体に対してケースを回動させるための」ヒンジホールが設けられている点であった。ケース」は「本体」の一部であるため、「本体」に対して枢動することができないのである。
連邦巡回控訴裁は、連邦地裁の判決を支持した。連邦巡回控訴裁は、構造的不可能性を修正するために特許の裁判上の訂正を認めるという連邦地裁の判決を支持した。連邦地裁は、"特許の明白な軽微な誤字・脱字 "を "1) クレーム文と明細書を考慮した上で訂正が妥当な議論の対象とならず、 (2) 出願経過がクレームの異なる解釈を示唆しない場合にのみ "訂正することができる。
この場合、適切な訂正は、本体が「ケース」ではなく、フラッシュメモリデバイスの「カバー」に対して回動することを認めることであった。この誤りは、クレーム文の全文脈から明らかであり、訂正は、クレーム文と明細書の検討に基づいて合理的な議論の対象となるものではなく、また、出願経過も異なる解釈を示唆するものでなかった。実際、先の控訴審において、連邦巡回控訴裁は、「『case』を『cover』に訂正することで発明の性質と範囲を一貫して理解した」(訂正内容を明示せず)。
Kingstonはまた、故意侵害の告発を打ち消すために誤植を信頼することもできなかった。CAFCは、クレームの文言における明白な小さな事務的誤りに依拠することは、故意侵害の抗弁にはなら ないとした。また、「司法上の訂正は、クレームを作り直すのではなく、むしろ、その明白な意味を実現する」ものであり、「明白な小さな事務的誤りは、定義上、その意味を覆い隠すものではない」ため、侵害者は「陪審員の評決を逃れるために誤りに隠れてはならない」ことを指摘した。